「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

ホルモン整え「美肌」生む 

(2007年7月1日(日) 北國新聞「丈夫がいいね」に掲載分)

ニキビが赤く化膿し、化粧をしても隠しきれない。
野々市町に住む女性(31)は昨年夏、額やあごにニキビが出るようになった。
生理の前は特にひどくなる。数ヶ月たっても、治まるどころか、数はさらに多くなった。
「何とかならないでしょうか」と金沢市の金沢有松病院皮膚科を訪れた。

■完治せず
美容皮膚科が専門の竹田公英医長は、ニキビの原因菌を退治する抗生物質を処方した。
しかし、化膿こそ止まったものの、ニキビは出続ける。
抗生物質だけでは完治しない頑固なニキビに竹田医長は漢方を試すことにしており、女性に「佳枝茯苓丸」を処方した。
女性は抗生物質と並行して漢方薬を毎日、毎昼晩と飲み続けた。1ヵ月ほどするとニキビは徐々に減り始め、そのうちほとんど出なくなった。
ニキビがひどい時はあまり人前に出たくなかったというこの女性は「肌の調子がよくなって、気持ちも前向きになりました。」と語る。
漢方がニキビに効果を発揮するのは何故か。「佳枝茯苓丸には、ホルモンのバランスを調整する働きがあるからです。」竹田医長はこう説明する。
一般的に女性の場合、ホルモンのバランスが崩れると、毛穴にある皮脂腺から脂肪が過剰分泌されるため、ニキビができやすくなる。先の女性が生理前にニキビが悪化したのは、このためである。
ホルモンバランスを整える佳枝茯苓丸を服用すると、ニキビだけでなく、生理不順や冷え症、便秘、肩凝りなど、ホルモンの不調が招くさまざまな症状が改善されることがあるという。体のバランスを整える漢方ならではの特徴である。
ただ、漢方だけでニキビを完治させるのは難しい。竹田医長が強調するのは、西洋薬と漢方薬の連携だ。「まずニキビが花盛りの時には抗生物質で原因菌をビシッとたたく。その後、漢方にバトンタッチしてじっくり治す。このコンビネーションが重要なんです」。 

■生活見直し
体に不調が生じて漢方薬を飲み始めたのを機に、生活習慣を見直すことも大事である。先の女性は、夜遅くに甘いものや脂っこいものを食べるのを控えるようになった。「漢方の力だけに頼るのではなく、自分でできることはしようと思ったんです」と振り返る。
東西の医学を上手に使い分け、同時に心身に負担を掛けている生活を改める。これが現代社会を健康に生き抜くコツのようだ。