「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分を掲載中

※ なお、記事の内容は執筆時点のものです。現在の医学的見地とは異なる場合がありますことを
 ご了承ください。

〜その腰痛は大丈夫?〜

先日、立て続けに腰痛や背部痛で当院へ救急搬送された患者さんがいました。その訴えは、台所で炊事中に腰痛が出現して動けなくなった。夜間トイレに立ったところ、急に腰痛が出現して歩行困難となった。

また、ケガもせずに急に腰背部痛が出現して動けなくなった、とのことでした。来院後、レントゲンやCT・MRI検査をすると、明らかに脊椎骨に骨折を認めました。これらの方は骨密度検査をすると、骨量の低下が見られました。

骨粗鬆しょう症とは、骨量の低下と骨組織の微細構造異常から、骨の脆ぜい弱じゃく性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患です。今回の患者さんたちのように、ケガなどの原因がなく、急に骨折することが特徴で、いわゆる「いつのまにか骨折」と云いわれるものです。

一般的に多くの方は骨粗鬆症の骨折は、けがをして骨折すると思われていますが、このように明らかな外傷がなくとも骨折するのも特徴なのです。特に脊椎骨の骨折では、転倒などのケガもしていないことから、加齢が原因の痛みだと思われがちです。

最近、背中が曲がってきたり、身長が縮んだり、誘引もなく腰背部痛が出現すれば、骨粗鬆症によるものかもしれません。さらに、このような患者さんの中には骨折を繰り返し、最後は寝たきりとなってしまう場合があります。特に原因がなく腰痛や背部痛などがある方は、一度整形外科の受診をしていただき、検査を受けることをお勧めします。

整形外科 部長 近藤 毅