「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分を掲載中

※ なお、記事の内容は執筆時点のものです。現在の医学的見地とは異なる場合がありますことを
 ご了承ください。

〜切れ痔にご用心〜

裂肛(切れ痔)はその名のとおり、肛門上皮が切れることで痛みや出血が出てくる状態です。硬い便が出てくるときに切れてしまうことが多いですが、水のような下痢便が勢いよく出るときにも切れてしまうことがあります。排便時のひりひりした痛みやしみるような痛み、排便後の真っ赤な出血が特徴的です。

基本的には注入軟こうと便通のコントロールで治療しますが、繰り返し裂肛になっていると肛門上皮が硬く、さらに損傷しやすくなって慢性裂肛となることがあります。また、肛門上皮が硬くなることで肛門狭窄となり、排便のたびにひどい思いをすることもあります。そうなると手術治療が必要です。早めの便通コントロールが大切です。

最近、温水洗浄便座が一般的になっていますが、その水流が強すぎても裂肛の原因となりえます。また、肛門周囲の皮膚から過剰に皮脂を取り除いてしまうと、肛門周囲の皮膚炎やかゆみの原因となってしまいます。弱めの水流で肛門にやさしく使うようにしましょう。

肛門からの出血と腸管からの出血は区別が難しいです。肛門からの出血と思っても、初めて血がでているのに気が付いたときは大腸内視鏡検査も行いましょう。
  
外科 医長 今川 健久