「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分を掲載中

※ なお、記事の内容は執筆時点のものです。現在の医学的見地とは異なる場合がありますことを
 ご了承ください。

〜夜間頻尿、原因把握を〜

 通常、青年期には、就寝から起床まで排尿のために途中覚醒することはありません。しかし、高齢になると睡眠中に尿意を催して目覚めることが多くなります。これを「夜間頻尿」といいます。これから冬に向かい、寒いトイレに行くのはとても苦痛を伴います。回数が増えると、睡眠不足で翌日の仕事に支障が出る恐れもあるでしょう。

夜間頻尿の原因は幾つかあります。若い頃は、眠りに就くと「抗利尿ホルモン」が分泌され、腎臓で尿をつくる働きが抑制されるのですが、加齢とともにこの機能が衰えてきます。男性では、前立腺肥大症になると排尿困難や夜間頻尿が起こります。

心不全や腎不全によって心臓、腎臓の機能が衰えると、日中の下肢のむくみが就寝後に尿となって排出され、夜間の尿量が増加することもあります。

男女ともに起こる疾患としては「過活動膀胱」があります。尿意を催すと、こらえにくくなり(尿意切迫感)、病気が進むとトイレに行くまでに間に合わずに漏れてしまう(急迫尿失禁)などの症状が現れ、このために昼間の頻尿だけでなく、夜間の就寝後も尿の回数が増加します。

夜間頻尿の原因は多岐にわたりますが、24時間の排尿回数と排尿量を記録する「排尿日誌」をつけ、原因を突き止めて適切な治療をすれば軽快する病気だということ知っておいてください。

泌尿器科 診療部長 宮ア 公臣