「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

〜その症状は直腸脱かも〜

肛門が腫れて粘膜が飛び出してきた場合、どのような病気が思い当たるでしょうか。

いぼ痔が外に飛び出してくる脱肛の場合が多いのですが、直腸が脱出している直腸脱の場合もあります。
ゴルフボールくらいの大きさのものが飛び出している場合、直腸脱の可能性が高いでしょう。気張ったり、長時間歩いたりした後に出てくることが多く、出血、不快感、下着の汚れ、便の漏れ、便の出にくさなどの症状を伴う場合もあります。

最初のうちは押し込めば入っていたのものが、徐々に悪化することで入らなくなっていきます。
高齢者、特に出産経験者の女性に多く発症がみられ、肛門まわりの筋肉や直腸を支える靭帯が弱くなることで、直腸が出てくるとれされています。

ある程度ひどくなると、手術が必要です。全身麻酔で腹腔鏡などを使用し、おなか側から直腸をつり上げて固定する術式、腰椎麻酔や局所麻酔を行った上で、肛門側からの操作で腸を短くしたり、肛門の筋肉を締めたりして腸が出にくくする手法などがあります。

高齢者に多い症状ですから、体への負担や危険性を考えて、より適切な治療法を相談されるようお勧めします。


外科 副院長 高畠 一郎