「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

〜便の漏れに、骨盤底筋体操〜

便失禁(便の漏れ)は高齢の女性に多い疾患で、主に肛門括約筋の機能低下によって便や便汁がもれてしまう状態です。出産による肛門括約筋の損傷や、直腸肛門周囲の手術治療の影響で症状が出ることがありますが、原因なしに発症することもよくあります。また、尿失禁も併せて発症することもあります。

治療方法としては骨盤底筋体操、内服薬による便の状態の調節、手術などがありますが、まず行うべき方法として骨盤底筋体操について解説したいと思います。

お尻の下に手のひらを置くようにして座った時に、両方の手のひらに当たる骨「 坐骨結節 ざこつけっせつ 」があります。その間にある筋肉が骨盤底筋です。肛門や尿道、 ちつ をキュッと締め、3秒ほど停止した後にゆっくり緩めるという運動を2、3回行います。 1日5分間くらいから開始して、10〜20分程度まで時間を長くしていきましょう。この体操によって、「間に合わなくて漏れてしまうこと」は減ると思います。

内服治療はゆるい便の方には効果があることもあります。手術は精密検査をしてから行う最新の特殊な治療法になります。骨盤底筋体操はいつ、どこででもできます。ぜひ続けてやってみてください。


外科 医長 今川 健久